とりあえず私は鬼達の力をじっくりと解析することに集中する。ものすごい情報が入ってきて、いきなり全部を理解なんて出来ない。まずは受け入れるだけで精一杯なんだよね。
それだけで頭がズキズキとしてる。表面をさらっとなぞって後はとにかく情報として頭に詰め込んでいく。私が集めるその情報をAIは何やら解析してるようだけど……それをこっちにもよこしてくれないかな? なんかG-01には何やら適応してるような感じだけど、私にも説明がほしい。
まあどうせ「今の貴女では理解出来ないでしょう」とか言われるのはわかってるんだけどね。
鬼達の足下から湧き上がってた砂獣達。どろっとしたそれらが真っ白な模型だった新型の虫にまとわりついていく。それはあっという間にその新型の虫を覆い尽くした。さらにそこから鬼達の力の密度? とか、方向性が変わった気がする。
そこら辺はじっくりと解析しないと実のところはよくわかんないが、なんとなく感覚でそんな気がするよ。それに入ってくる情報にもなにやら色々と違いがね……それそれの鬼が何やら違う情報を送り込んでるかのような……ズキズキしてた私の頭が今やギチギチと限界を訴えてきてる気がする。ヤバい……ふらつきそう……てか目の前がチカチカしてきたかも……
『不味いですね。都市核を三つ使って脳を拡張しましょう』
「え……なに……それ?」
大丈夫な奴? てかそんな機能あるの? 早く教えてよ。いや都市核三つ分ってかなりヤバいから、今までは出来なかったのかも……てかあんまり考えることが出来ない。今すぐにでも意識手放したいほどだし……
『複雑な説明をしても今の貴女は情報の処理能力が著しく落ちてます。理解は出来ないでしょう。許可を与えるか与えないかの判断だけしてください』
AIの奴め……その言い方はとてもズルい。――ってこのままだと私は確実に気を失う。それはもう実感としてある。ならどっちかなんて決まってるじゃん。ここは宵で、G-01さえも簡単にぶっ潰せるような鬼達が跋扈してる場所だ。ここで私が気を失うことはどう考えても死を意味してるよ。
「許可……する」
『権利者による許可を確認しました。思考記憶領域の拡張をします』
「ほえ?」
なんかいきなりスッキリした。さっきまでもう眠くて眠くてその睡魔に耐えることすらも出来ない感じだったんだよ? 本当だよ? けど今やそんな睡魔は一気に吹き飛んだ。いや感覚的にはそんなのあった? と言う感じだ。
それに……
「頭痛くない」
さっきまで大量の情報が入ってくることに頭が悲鳴を上げていたのに今やその痛みは全くない。むしろ同時に入ってきてる情報を処理出来そうな気さえする。
『脳機能を拡張しましたからね』
「それで……いや、こう言うことが出来るなら早く教えてよ」
『気づくまでは黙ってる予定でした。思ってたよりも情報が膨大で貴女が鈍感なせいで処理の中断が間に合いそうもなかったので助言したまででです』
「それは……ありがたがって良いのか、鈍感って言われてるのを怒った方が良いのか……」
反応に困る。実際感謝した方が良いんだろうけどね。なにせ見つけるまでは――って言ってるって事はどこかに隠された機能だったみたいだし。まさか私にG-01のマニュアルを執拗に理解させようとしてたのはこれか?
「思ったんだけど、これって私自身も強化出来るって事だよね?」
「そうですね」
「それってやっぱりG-01というか外側だけじゃなく、私自身の強化も前提にあるって事?」
『よく、アタッチメントの説明を読んでればそこにも気づけたはずですけどね』
うっさい。でもそっか……自分自身も余剰エネルギーで強化が出来るのか……てかやることいっぱいありすぎない? G-01という機体の強化だけじゃなく、私自身の強化まで必要って……更に外で行動だって併用して行わないといけない。大変すぎる。
でも拡張された脳の機能はとても快適だ。なにせ頭痛に悩まされなくなったのが大きい。やったね。