「とりゃああ!!」
と私はかわいい感じの声を出した。それはもちろん切羽詰まってるわけじゃない。ただとりあえず腕を出しただけだ。けど流石に鼻ほじりながら……とかだと相手に失礼すぎるじゃん? だからこそ、まあちょっと真剣さを出すためにも声を出したわけだ。私の腕ははっきり言ってとても細い。
生身なら私なんてひ弱すぎる部類だろう。だから普通にこんな私がパンチを放つ動作をしたとしても、それはめっちゃ緩慢である。もちろんパンチではある。けど私はそういうのをしたことないし……もちろんだけど格闘技とかを習ってた……なんてこともない。まあけど、最近、どうやらG-01の中にはたくさんの武術のデータもあることがわかった。一応それを拡張された脳にインストールはしてる。
だからパンチだって前よりは腰を使って打てるようにはなってると思う。そしてそれを受けて、G-01がパンチを放つんだから、ちゃんとした体を使う……ということはG-01にだって影響があるはず。実際以前の私はそれこそへなちょこパンチしか放ってなかったわけだ。けどその動き をG-01が完全にトレースしてたわけじゃない。
G-01はちゃんと威力が出るような動きでパンチを放ってた。まあだからこそあんまり私の動き自体はそこまで重要じゃない感じはある。でも私の動きをG-01へと補正するためにわずかだけど、その処理能力を使ってはいる。
それって無駄じゃん。私がもっとうまく体を使えるようになれば、必要なくなる処理範囲である。ならば……ね。それにだ。今はまだシンクロ率が低いから補正が入ってくれるわけだけど100パーセントだとあまりにもひどい動きに入る補正だって大きくなる。そもそもがシンクロ率100パーセントはそういうの入る前提じゃないからね。
なので今からそういう武術的な知識をインストールして試しておくことは大切だろう。私の……というかG-01の拳は大きな聖騎士の腕を一方的にぶっ壊していく。
「「うおおおおおおおおああああああああああ!?」」
大きな聖騎士が私の攻撃をうけてその姿を崩した。重なってた二人の聖騎士にもどって地面へと落ちていく。そのさい、なんかかなりのダメージをおってた。サイズがかなり違ってたし、どういう原理で二人の聖騎士が巨大な聖騎士へとなってたのか謎だが、まあ私の攻撃の影響だよね。
そいつらは砂の上に落ちて、ピクピクしてる。すると周囲を飛んでる残りの聖騎士達が動揺してた。
「まさか……」
「本当にユニゾンをこんなに……」
どうやら奴らはあの巨大になる技を絶対的に信奉してたみたいだ。だからそれを私が完璧に破ったのが信じられないらしい。けどそこでようやく、完全体といっていい巨大な聖騎士が動き出した。