「くそ!!」
そういって高い帽子を地面に投げつける老齢の男。枯れ果てたみたいな見た目の細い老人だ。その体は豪奢なローブにおおわれてるが、出てる手首や首元……そこには隠せないくらいの年齢が出てる。まあ顔が一番わかりやすいのはその通りなんだけどね。
私のスパイドローンは有能でこの映像もスパイドローン越しに見てる。いつものドローンは寸胴な体にカメラと飛行のためのプロペラがついてるんだが、このスパイドローンは違う。このスパイドローンその姿は蜘蛛の姿をしてる。小さな小さなクモである。
はっきり言ってかなり小さい。私の小指くらいのサイズしかない。G-01ではないよ? 私である。私は華奢な女の子である。その小指サイズ。しかも小指の先、第一関節くらいのだけの部分である。つまりには2センチか3センチくらいである
そんな小ささなのに、鮮明な映像をおくってくれてる。しかもちゃんと音声も同時にね。それにこのスパイドローンは単独で一か月は稼働できる。そして最終手段には自爆機能もあって、データを守ってくれる。さらにはその時毒をバラまける。最悪敵を道連れにもできる。多機能なのだ。
それに小さいからその毒だって少量だけど、その毒はかなりの猛毒である。スパイドローンだが、ある意味で使い方を変えれば対象を暗殺する暗殺ドローンにもなるだろう。まあさすがにその機能を使うつもりはないけどね。
「なんなのだあれは!! あれは勇者と呼ばれてる奴の使役獣ではなかったのか?」
「そういう風に報告されてますが……あれはあれで自律的に行動してる節もあります」
「だが、主人は勇者という奴だろう? 主人よりも強い家臣など……いや使役獣などいない。なら勇者はあれよりも?」
「やはりあれを奪うことを考えた方がいいのではないでしょうか?」
「できるのか? あの未知の連中に干渉する術が?」
なんかどうやら私をどうにかして手に入れたいらしい。まあそうなるのもわかる。なにせ私たちは別世界からやってきた……的なことはわかってるらしいからね。その時点でいろいろと規格外というのは教会も理解してるみたい。
だから実際は私たちの脅威度はきっと奴らも最上位に位置付けてるだろう。でもまだ認識が甘かった。きっとあのデカい聖騎士でどうにかできる……と思ってたのかもしれない。けどそれでもだめだった。
だからこそ、私というかG-01をどうにかその支配権を奪う術を奴らは今度は仕掛けてくる気らしい。まあ全部筒抜けなんだけどね。