意識が下っていく。結局俺は……何も守れな……
(なんだ?)
何か温かい感じがする。そして体の奥……芯の所から湧いてくる……これは力? 活力……とでも言えばいいのか? そんなのを感じる。俺は確かに斬られた。あの鎌を2つ持つ砂獣に。それこそ真っ二つ……くらいに。なんとか身体がくっついてたけど、肩口から脇腹くらいまではパカッとなってた。
なのに……いつの間にか俺はいきてる。それに……血も止まってる。それに気づいた俺は、斬られた剣を掴んでた。
「大切なのは、力を感じることなんだろ」
これは壊れてしまってるかもしれない。けど、残ってる力をまだ感じる事ができる。俺は走った。もう一度。けど実際倒れてた時間があるせいで間に合いそうもない。上に登ってる暇なんてない。なら狙うは脚? いや、奴の下半身? と言っていいのかわかんないが、奴の腹……尻尾? その部分がなんか膨らんでて、この剣を差したらさぞかし勢いよく爆発しそうだとおもった。俺はジャンプした。そして折れた剣の切っ先を向けて、その砂獣の膨らんでる下腹部に飛び込んだ。
ここで普通なら刺さるかどうか気にするところだろう。けど俺にはそんな考えはなかった。なにせ『刺す!!』という気持ちしかなかったからだ。何が何でも刺す。俺のすべての力を剣に込めてでも刺す!! その思い。
「んがああああああああああああああああ!!」
切っ先が皮膚というか、肌に止められてる。下から行ってるから、甲殻の硬い部分……というわけじゃない。けどそれでも、防ぐか! でも俺は諦めない。下腹部にとりついて、何度も何度も打ち付ける。そんな俺がうざかったのか、身体をフリフリとしだす砂獣。そしてその御蔭で、俺にちょっとでも気を持っていかれたせいで、彼女は自然落下して砂に落ちた。その後に追撃されたらお終いだが……そんな事はさせない!
剣の刀身を握る俺の手から鮮血が飛ぶ。でもそれがなんだ! 絶対に俺はこれを刺す!! そしてついに、皮膚を超えて剣が差し込まれた。けどそれでもまだ浅い。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺は刺さってる剣に向かって頭を振り下ろす。額を使って剣を押し込んだ。するとその剣が入った所から亀裂が入っていき、その砂獣をの下腹部が盛大に爆発して臓物を撒き散らす。
けど倒した。俺はフラフラとなりながら、砂に落ちてる彼女の元へと歩く。