uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 672

「たい……ちょう……」

 

 凄い……その思いしか出てこない。本当なら俺たちも隊長に続くべきなんだろう。わかってる。俺たちは彼を支えたいと思った。だからこそ、彼の部隊に志願して、そしてその下でその理想をともにしたいと頑張ってきたんだ。

 俺たちはあの人に憧れた。上からの理不尽な要求……死を求められる任務ばかりが俺たちには課せられてきた。でもそれでもあの人は俺たちを鼓舞して、率先して前に出て、沢山の怪我を負っても、最後には勝って来たんだ。

 だからこそ、俺たちはついていけた。行きたいと、思えた。けど今回の戦いで俺たちは隊長についていけない。死ぬことなんかとっくに覚悟してたはずだが、心が俺たちは折れてしまったらしい。

 これまでいくらだって絶望的な状況はあった。その度に隊長とそして部隊の皆とともに乗り越えてきた。その自信があった。けど……倒しても倒しても迫ってくる砂獣。そして一人……一人とまた息絶えていく仲間たち。

 その身が残ってればいいほうで、目の前で食べられていく仲間たちを見せられていくと、どんどん心がすり減っていく。次は自分なんだと……それが嫌で必死に武器を振るった。既に五体が満足なやつなんていなかっただろう。

 もう終わりだと思った時に、ここに残った俺たちは幸運にも助かった。それは圧倒的に強い勇者がきたからだ。俺たちはその体も回復されて、亡くなった部分も戻ってきた。だが……その強さがあっても砂獣を抑えることしかできない。

 俺たちからしたら、隊長が1番だった。そのさらに上、圧倒的に強い勇者の存在。それでも……この波に抗うしか出来ない……それがわかってしまったら怖くなったんだ。俺たちに出来ることはない。そう思った。

 本当の本当に死を感じて、死を濃厚に、そして目の前に感じた。死に舌なめずりを俺たちはされた。半歩は死に入ってた。だからこそ、それを知らずに強がってた昔に戻れない。戻ってこれたからこそ、もう一度あそこに半歩入ることを体が拒んでしまってる。

 

「すみません……ずみばせんだいぢょう!!」

 

 俺たちは泣いていた。大の大人が体を震わせて泣いていた。怖いんだ。俺たちはどうしようもなく、戦うことが怖くなってしまってた。