uenoutaの日記

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第六十一話part5

 育代はきっと小頭を元に戻したことでコツをつかんだんだと思う。それによって次々に育代の力によってお母さんやお父さん、それにお爺ちゃんも正気に戻った。育代はいった。直してるんじゃなく戻してるだけだと……
 
 でも……そう思って小頭は自身の背中の傷を見ようとする。いやさすがに背中側の傷は見えないんだけど……けどジンジンとした傷の痛み。それがなくなってるのは確認できてる。そっと、腕を流して確かめても、痛みはない。
 確かに育代は直してないのかもしれない。でも……
 
(なかったことにしてるよね?)
 
 それである。
 
「おばあちゃんこれって……」
「お前、すごいの!」
 
 おじいちゃんが喜んでそんなことをいってる。それに対して汗をかなり出してる育代が「……はい」といってニコッとわらった。
 
 その笑顔は美しいものだったけど、きっとおじいちゃんはその奥に疲れをみたんだろう。
 
「だ、大丈夫か?」
 
 心配そうにそう聞く。けど育代はまだやることがある言うように鬼女へと腕を伸ばした。でも、それを拒否したのは鬼女本人だった。
 
「やめろ。そんなの必要ない」
「でも……その傷は」
「お前たちと一緒にするな。私たちは頑強なんだ」
 
 そう言い切った鬼女。そして肩を回したり背筋を伸ばしたりしながら、歩き出す。
 
「はぁぁぁぁぁ、やっと自由に動ける」
 
 そんな風に気軽に言ってる鬼女。小頭たちとは違って、その傷はもちろんだけど、そのまんまだ。確かいろいろと貫通してたりしてたはずである。それも一か所とかじゃなかった。胸とかだって、貫かれてたはずだ。
 けど、マジで鬼女は普通に歩いてるのだ。別に「いたたたた」とかいうこともない。本当になんか傷なんかなかった……みたいな感じである。確かに小頭も彼らは頑丈だとは思ってた。でも……あれだけやられてもあんな平然でいられるほど……とは思ってなかった。
 おばあちゃんの治療を拒んだのはきっとおばあちゃんの体調を慮ったのかと小頭は思った。でもどうやら鬼女は本当に平気らしい。
 
「あれなら大丈夫ね……あら……」
「お前!」
 
 ふらついた育代を受け止めるおじいちゃん。その姿は美しいが、見た目だけなら、おじいちゃんと美女の図である。ロミオとジュリエット……とはちょっと言えないなって思った小頭だ。