鬼女の戦闘は荒々しい。そこそこ離れてるはずなのにさっきから激しい風と音が襲ってきてる。よしんばまだ風や音はマシだ。時々が石やら、それこそ魑魅魍魎が飛んできたりする。
けどその時は鬼男がさりげなく野々野小頭を守ってくれる。だから無事な訳だけど……
「えっと……思ってたんだけど。ここに私を連れて来たのはここに扉が開いてて、お兄ちゃんたちに関係がある……からなんだよね?」
それはつまりは……と小頭は嫌な想像をして更に言葉を紡ぐ。
「この扉を開いたのはお兄ちゃんか、育代ちゃんって事?」
そういう事になるのでは? と小頭は考える。てか、そう考えるしかないのではないだろうか? だって、今の所、鬼へと置き換わってるのは野々野足軽と育代だけである。
おじいちゃんもお父さんもおばあゃちゃんもまだ今日は見てないが、変わってるのだろうか? けど、とりあえず確実なのはこの二人なわけで……つまりは昨夜、二人は……
(えっ? まって、それって二人は夜中に抜け出してこんな森の中であってたってこと?)
そこに気づいてしまった小頭。
(なんで? どうして? まさか二人は付き合ったり……でも、お兄ちゃん、彼女いるし……まさか浮気? 確かに育代ちゃんかわいかったけど……都会の女の子と違った健康的なエロさあったけど)
とかなんとか考えてる。だって夜中に男女が二人っきりで会ってたいう事実……それを考えると、そういう関係なんじゃないか? と小頭が考えるのも無理はないだろう。小頭も多感なお年頃なのだ。
「貴方達と入れ替わったって事は二人は今、どこにいるの?」
色々と気になることが出て来た。特に二人の関係性とかだ。夜中に逢瀬を繰り返してたのだろうか? それだったらもしかしたら昼間は自分は邪魔だった? とか考える小頭。
でもそんな二人の関係性も気になるが、鬼と入れ替わってしまった二人がどこにいるのか……それも気になる所だ。
だってこの扉を閉めるには開けた二人、つまりはお足軽か育代が必要なんだ。だからこそ、その行方は重要。
すると鬼は門を見る。門をじっとみてる。
「まさか……」
その視線が何を意味してるのか小頭は察した。つまりは……
「二人は門の向こう側にいるの?」
そういうことなんではないだろうか?