uenoutaの日記

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五十一話Part3

 今、改めて野々野国人は向き合ってた。何に? って……それは自身の気持ちにである。アホなことをしてしまったと思ってる。確かに何も彼女とは何もなかったと……肉体的なつながりは一切なかったといっても、自身の本当の彼女の代わりをさせてた事、それをどういう風に本当の彼女は受け取るか。
 
『その女でも良いんじゃないの?』
 
 ――と野々野国人の本当の彼女は思っただろう。そしてその時の気持ち……いや想いはどうだっただろうか? きっと悲しかったはずだ。なにせ結婚までしようとしてる相手が、まさかまさか君じゃなくてもいい……といってるようなものだ。はっきりとは言ってない。明言だってしてない。それにそもそも、野々野国人はそんなこと思ってないんだ。
 けど……人は……人は他人の心を視ることはできない。操ることはできない。もしも本当に誰かを理解してる……なんて思ったとしたら……それはただの思い込みである。でも野々野国人と本当の彼女は結婚をしようとしてる。それは社会一般的には契約かもしれない。結婚という契約。けど『結婚』はこの世で一番、心が決める契約ではないだろうか? 
 ただ合理的に結婚をする……そんな人がいないとは言えない。ただ相手の立場、見た目、年収、家柄……それらだけを考えて結婚する人もいるだろう。けど、野々野国人と本当の彼女は違う。違ったはずだ。二人は……こういうと恥ずかしいが『愛』をはぐくんで結婚まで踏み切ったはずだ。いうなれば二人の心はお互いに『通じ合った』――と思ったから結婚までいった。
 そして互いに『支えあっていける』――と思ったんだ。それはここ数か月……数年……なんて単位ではない。結婚はそんな短期的なことじゃないだろう。数十年……いや一生のことだ。今の時代離婚も珍しいことじゃない。けど、結婚を数年単位でできるもの……と考えるほうが少数派だと思う。そして野々野国人も、そして本当の彼女だって長い年月をともに二人で生きていけると思ったから結婚に踏み切った。
 そこには互いに『この人しかない』とか『この人なら』という思いがあったはずだ。そこに代わりなんて……ない、そう思ってたはず。それがきっと自己肯定感やら、ある意味でスペシャル・特別って言葉としていえるかもしれない。でも今、本当の彼女の中ではその特別……が薄れてしまった。だって『自分でなくてもこの人はいいんだ』――と思わせてしまったんだ。
 不安にさせた。そんなわけはない……この人じゃないと……と野々野国人は思ってる。けど……心にともった疑念はそんな簡単に晴らされるものじゃない。そしてそんな風に悩んでるときに、野々野国人のスマホにこんなメッセージが届いた。
 
『今度の式場見学はここがいいな』
 
 それは本当の彼女からのメッセージではない。代わりの……あの人からのメッセージ。それを見て野々野国人はようやく違和感を感じた。