母親との距離はともかく……だ。朝からずっと寝てたせいだろう。喉も乾いたし、何よりもお腹も空いてる野々野足軽だ。とりあえず何かを食べたいと思ってドアを開ける。
「あっ」
するとどうだろう? 同時にドアを開けたのか、向かいの部屋から妹である野々野小頭を顔を出した。でも……
「ふん! べー」
そしてバタンとやけに大きい音を出して扉を閉める野々野小頭だった。
「なんなんだあいつ?」
生理か? とか思った。まったく心当たりなんてないのになぜか妹とも距離が空いてる? どういうことなのだろうか? ちょっと前……それこそ野々野足軽が超能力者とバレても、小頭は別に変化はなかったように思えた。
いや、むしろ前よりも優しくなってたような気さえしてた。一夏の冒険が兄妹の心の距離を縮めてたのかもしれない。なのに一気にこれである。せっかく年頃になって開いてた兄妹の距離。それがちょっと縮まったと思ったのに……これである。
タンタンタンと気分を切り替えてさっさとなにか食べようと思って階段を降りる。夕食が終わってても、一番食べる(男子高校生ですから)筈の足軽が夕食時にいなかったのである。
ならば結構夕飯は余ってるであろうって野々野足軽は考えてた。
「母さん、腹減った」
「は? あんたまだ食うの?」
「まだって、何いってんの? 俺はまだ食ってないでしょ?」
「はあ? あんた今日はいつも以上によく食べたでしょ。もう冷蔵庫の中の食材全部食べちゃったんだから、何もないわよ。なにか食べたいなら自分のお小遣いで買いなさい」
そんなことを言われた。そして片付けが大変だから退いた退いた――とキッチンのところから「しっし」と退散させられた野々野足軽である。