「今すぐに戻りましょうか?」
「いや、あんたの速さで俺たちは戻れないし……それに……確かにあいつのことはわかったけど、それでもこのまま戻るわけには行かねーよ」
「何故ですか? 貴方たちの懸念は払拭されたはずですけど?」
そう言ってるアイだけど、実際はジャルバジャルから訴えに来た人の本来の目的をあいつが忘れた……何てことは無いだろう。少なくとも、この人達よりもアイの方が頭良いのは確実だし、そんなわけ無い。こいつしらばっくれてる。
「俺たちは待遇の完全を訴えに来たんだ! 仲間のこともそうだけど、俺たちは管理された動物じゃ無い!!」
「「そうだそうだ!!」」
「人間は動物ですが?」
そういう事じゃ無いよね。私が思ったようなことをジャルバジャルの人達は叫ぶ。けど、アイにはいまいち響いてないようだ。アイは良い事をやってるんだから、こいつらが何で不満におもってるのか……って事なんだろう。そもそもが待遇の改善とか彼ら言ってるが、アイ的には自分のスケジュールで動くこと、働くことが待遇の完全になってると思ってるよね。
実際、アイのやり方の方が彼らは健康にいきられると思う。けど、それを彼らは望んで何て無いんだよね。
「それに私だけが貴方たちを縛ってるわけではないです。アズバインバカラでも縛りはあったでしょう」
「それでも俺たちはこんな、管理されてるなんて感じた事なんてない!」
「ああ、アズバインバカラは酒とか自由に飲めたぞ」
「仕事をするのだって――」
「それは自由な賞金稼ぎ稼業なら……でしょう? 貴方たちは今、ジャルバジャルの復興委員として雇われてるのです。そして仕事もあり、この復興がきちんと終われば、条件の良い報酬だって約束されています。
それにこの復興が早く終われば、それだけ貴方たちも自由になれますよ? 私の計算を聞きたいですか?」
「……アンタには、この終わりが見えないような復興の終わりが見えてるのか?」
「当然です。現場で働く貴方たちはただ言われることをやってれば良いと思いますが、私達のような上の者達は先の先まで見据えてるのです。そこにはもちろん期限をつけて復興を終わらせるつもりです」
なるほど、なんかアイの奴は自分の考えを変えるよりも、こっちに寄らせようとしようって事らしい。しかもそれが、ちゃんとした期限を伝えること。それは確かに効果的かもしれない。確かに現場の人達って長期的なスケジュールって知らされないものかもしれない。
でも、上の人達はもちろんだけど、先々まで見てるはずだ。見てないはず無い。それを伝えない理由も色々とあるんだろうけど、ずっと働かされる――なんて思ってしまってる人達を落ち着かせるには良い方法だと思う。
やっぱり終わりが見えないと、色々とモチベーションを保ち続けるのって難しいし。まあけどこれでよくわかったけど……やっぱりアイって頑固だよね。