「やっば!」
どうやら集中してゲームをしてたせいで、母親が返ってくる時間が近づいてるってことに野々野足軽のコピーは気づかなかったようだ。すでに昼を過ぎて中頃。母親は早めにパートは終えて、子供たちが返ってくる頃には家にいるようにしてる。家事とかも誰も気にしない程度に当たり前にやってるのだ。家事なんて家族は誰も気にしてない。けどそれは母親が家族が気にしないようにきれいにしてるってことだ。食事も当たり前に毎日手作りだし、部屋の隅に埃が残ってるなんてこともない。ふかふかのタオルがちゃんと用意されてるし、着るものに困ることもない。
だからこそ、当たり前。当然の事。でもそれをやるために母親はしっかりと毎日の作業をこなしてるのだ。辛そうな顔なんて見せずに。
「あー寒い寒い」
そんな独り言を言いながら母親は帰ってきた。さすがにPCの駆動音までは下の階に聞こえることはないだろう。でも念のためにもうやらないほうがいいだろう。なにせ今見つかったら、なんて言い訳したらいいのか……たぶん本体と思ってくれるだろうが、こんな時間に学校から帰ってきたなんておかしい。それこそ病欠とかじゃないとこの時間に学校から帰るなんてないだろう。
けどさすがに病気で家まで帰るってなったら、学校から親に連絡がいくんではないだろうか? いや、高校ならそこまでしない? わからない。さすがにコピーもそこまではわからない。でもまあ言い訳するのも面倒だし、見つからないにこしたことはないだろう。とりあえずPCの電源を落として、いそいそと押し入れに戻る。母親は子供たちの部屋を掃除しないのか? と思うだろう。
野々野足軽は自分でやる……と言ってるが、母親はそんなの無視して掃除にきてる。どうやら母親的には野々野足軽の掃除頻度では満足できないようだ。野々野足軽だって別に足の踏み場もないほどにはしない。
それに小頭と足軽ならどっちかというと足軽のほうが部屋を綺麗にしてるほうだ。小頭は放っておいたら自分の服とかなんやらで床を埋め尽くしたりするやつだ。絶対に一人暮らしとかしたら汚部屋になるのは小頭のほうだろう。
だから野々野足軽はまだましなほうだけど、母親だからなのか、世話をしたいのかもしれない。けどそこは高校生男子のことを慮って下手に細かい所まではやらないようにしてるようだ。ベッドの下とか、それこそ押し入れの中とかだ。だって男子高校生だからな。親に見られたらまずいものの一つや二つ、あってもおかしくないからな。
そこはちゃんと母親も理解してるみたい。だから押し入れに入ってればコピーが見つかることはない……筈。