「どけ! 道を空けろ!!」
そんな怒声を出しながら筋肉もりもりで顔がこい、三日月を上にして口につけたみたいなおっさんが槍をもった軍団を引きつれてきた。世界が違えば、当然言葉も違うわけだが、G-01には膨大な言語があらかじめあるようだ。そして現地の者の話とかを分析して、直ぐに翻訳してくれるようになる。それに今回は最初からあのジャル爺が協力的だったから、私達は既にこの世界の言葉をマスターしてる。
いや、マスターしてる――って言うと語弊があるかもしれない。なにせ別に私はこの世界の文字とかを書ける訳じゃない。ただ、勝手にG-01が翻訳してくれてるだけだし。魔王と勇者も、存在が変わって、G-01の一部を得たことでにたよう手事が出来る――というか、こっちと向こうでリンクできる。なのでG-01の学習した翻訳データを共有さえしてしまえば、二人も問題なくこの世界の言葉がわかる筈。
三日月のおっさん達には真っ先に私が目に入るだろう。けど、こっちにはこない。びびってるびびってる。まあかなりデカいしね。ヘタにつつかない方針なんだろう。その代わりに倒壊した家で救助活動してる魔王と勇者の方に近付いてく。
「これをやったのは貴様等か!!」
人だかりのところに近付いて行き、大きな声を更に張り上げてそういう三日月のおっさん。五月蠅い奴だ。奴の声のボリュームだけ落として置こう。
「なんだ貴様? それがどうした?」
「どうしただと? この土地が誰の物かわかっておるのか!! この地の全ては財産なのだ。こんなことをしてただで住むと思っておるのか!?」
「そんなの知るか。寧ろ助けてやったんだ。貴様等弱者をな。ありがたく思え」
「自分たちでやっておいてなんとういう態度!!」
魔王の奴が煽りまくるから三日月のおっさんはどんどん声の音量が大きくなってる。良かった奴の音量だけ落としておいて。目の前で聞いてる魔王とか鼓膜破れない? って感じだ。すると振りの間にジャル爺が入っていく。
「貴様は……」
「儂はジャルバジャルの生き残りですじゃ。この使徒様達に助けて貰わなかったら、とうに死んでおったおいぼれです」
「なら、ジャルバジャルが壊滅するのを何故に救わなかった?」
「それは……」
まあそうなるよねって事を言われた。本当に天に使わされた存在なら、間に合え――とね。でもそんなことをいわれても困る。なにせ、たまたま出たところで、既にジャルバジャルという街は砂の下に埋まってたんだ。
「ふん天の意思など、貴様等が考える事ではない」
「なに!?」
ある意味で魔王奴、話を合わせてるがそのいいかたじゃね。でも他に良いようもない気もする。ここを穏便に治めるにはやはり魔王では役不足。すると勇者の奴がようやくこの会話に入ってきた。