uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 253

「それはあなたたち次第です。あなたたちはこの世界の人たちをどうやって導いていく気ですか?」
 
 俺は老子バンドゥンへとそう尋ねる。とりあえず色々と力を駆使して、こいつの力の流れを感じ取れるようにすることにこの間に注力する。それにこいつは協会の中枢の人間らしい。ローワイヤさんは協会では巫女という立場で上の方だったらしいが、その内部事情には詳しくなかった。
 実際ただの神輿で利用される側だったからだろう。でも……この老子バンドゥンは違う。こいつは正真正銘、利用する側……黒幕側だ。なら色々と聞けるだろう。
 
 俺の力はさっきの砂獣を一瞬で倒したことでわかっただろう。まあ老子バンドゥンのほかにいる協会の奴らが怪しい動きをしてるが……とりあえずは老子バンドゥンに集中する。
 
「ふぉふぉふぉ、勇者……殿でしたか? 我々はきちんと明日を見ておりますよ。我々は、この世界の者たちを全てあまねく、太陽へと導くことを目指しております」
「太陽って……そこまでこの地上がたどり着いたら、終わり……なんじゃ?」
 
 物理的に、太陽に近づくことで熱か何かわからないが、それでこの世界は燃え尽きる……的な事を言われてるんじゃなかった? だからこそ、砂獣側は街を落として砂の嵩を上げて、人側はそれを阻むために砂獣の進行に抗ってるんじゃん。
 太陽に辿りつくってそれに完全に逆行してる。
 
「我らがいう太陽は希望の事ですよ」
 
 何言ってるんだこいつ? ……と思った。まだ笑顔とか浮かべて言うならなんとなく変な格好ですっぽり覆ったローブの大きな目玉の目が光った状態で言われてもめっちゃ不気味。
 
「希望ですか。本当にあなた達はこの世界に生きるすべての人たちをみてるんですか? そのすべてあまねく……という言葉に他の町が入ってるように思えませんが?」
 
 なにせこいつらは中央集権主義じゃん。そして中央以外は見下してるし、中央でも地上に住んでる人達は悲惨だ。こいつらにとって地上の人間は有象無象なんじゃないか? 
 
「勇者殿は知らないでしょうが、我ら協会はこれまでこの世界に貢献してきたと自負しています。そこには多少の犠牲はあったでしょう。ですが見てください。まだ人の営みは続いているのです。
 確かに多くの犠牲はありました。ですがその痛みを我らは受け止めて前へと進んできたのです」
 
 こいつ……流石に年の功だけあって口が上手い。完璧な仕事をしてきた……なんてことは言わない。犠牲は確かにあった……だが、それでも進んできたと……犠牲は踏み台とは言わずに、糧にして進んでいくことが、残された者たちの務めだといってる。
 
 それ言われると……反論しづらい。だって俺にだってその経験はあるからだ。