あれから数日、色々と準備をしてた。もちろんそれは中央へと向かう準備だ。ローワイヤさんにも話を通して、彼女の意見も聞いた。それにどうしてあんなことになってたとか、中央の裏の部分とかも……ね。どうやら中央はかなり……いや俺の想像以上に魔境と化してるらしい。こんなギリギリの世界でも権力というものを手にした奴らはそれに執着して、明日が見えなくなるらしい。世界が終われば、そんなモノ内に等しいのに、権力者たちは自分たちの利益だけを……既得権益だけを拡大することに腐心してるらしい。アインラザードが落ちて、砂がどの街でも高くなったはずだ。でもどうやら、ジャルバジャルを取り返してたからか、ジャルバジャルのときに対策してた範囲に収まって危機感が生まれてない……ということだった。
ローワイヤさんもそこら辺は実はあんまり気にしてないみたいな? ほぼ、俺がいなかった再起不能……というかジゼロワン殿が助けなかったら、確実に死んでたというのに、砂獣に対して恨みこそあれ、出会ったら今度こそ駆逐する程度で動こうとするわけじゃない。
それどころか、俺が中央にいってのサポートをお願いすると二つ返事で了承してくれた。中央に戻って健全とそしてアズバインバカラの後ろ盾を使って再び成り上がりたいみたいた。そして邪魔する奴らは容赦なくフッ潰す……みたいな? 彼女はすでにそんな皮算用を始めてる。まあけど妄想は犯罪じゃないし、他人の考えにまで俺は干渉する気はない。だからそこは放っておく。ただ、ローワイヤさんを頼るわけでもあるし、ある程度、納得できる程度には手を課す必要はあるかもだけど。
『ちょっとネナンちゃんのことはどうするつもりですか?』
「あの子にはポニ子が付いてるじゃないですか。ポニ子を常に張り付かせてるから、自分は必要ないかと」
『ポニ子は安心材料ですよ。ポニ子には教えるってことはできないですからね。でも癒やし要素は強い。心細いネナンちゃんの癒やしにポニ子はなってもらってるのです』
いやし……か? 俺的にはポニ子はどこか不気味なんだが……まあ確かにポニ子は子どもたちには大人気だ。てかこのやり取りも何回目って感じだ。一応俺はここ数日、ネナンちゃんに色々と大きな力の制御の仕方とか教えてるが、それが身になってるかといえばそうでもない。そもそもネナンちゃんはそれを引き出すこともまだできないし、力を利用すると負担も大きいから、今はただ健やかに育てた方がいい気がする。
まあジゼロワン殿が言うように、世界がそれを待ってくれるとは限らないが……だからってここで俺がつきっきりで出来ることもあんまりないんだ。ジゼロワン殿はとてもネナンちゃんをかまってるから、信用できる護衛がいなくなるのは不安なのかもしれない。ポニ子は常にネナンちゃんのそばにいるが、あいつは強くなんてない。本当にただのマスコット的な感じだ。そしてジゼロワン殿は大きいから、どこでも一緒にいるというわけにもいかない。まあジゼロワン殿がアズバインバカラから離れて好き勝手やれたのは俺がここにいたからってのが大きいだろう。だがそれはこっちも同じだ。俺もここには知り合いも多くなってるし、見捨てる気はない。
「これは順番ですよ。この前はジゼロワン殿が外に行ったじゃないですか。なら今度は僕の番ですよね?」
『それは……確かにそうだけど……』