「ジーゼ様、私にお話させて。もっと……近くで」
そういうネナンちゃんの要望を聞いて、私は宵へと手をかける。するとその瞬間だった。なにやら隔たりの部分で変な感覚が襲いかかってきた。翌々考えたら、宵になったあとに動くことはしてたけど、明から宵へと直接渡る……ということはやったことがない。
（私の力でも……いやG-01の力でも難しい？ いやいや待て待て）
さっきはたしかにドローンで試して、宵へと直接渡るということは出来なかった。けど……だ。私は私を……というかG-01を舐めるな……といいた。誰にって？ 世界にだ。
「お父さん……お母さん……」
そんな事をいってじっと宵の向こうの鬼を見つめてるネナンちゃん。そして鬼もこっちをみてる。なにその織姫と彦星みたいな……天の川でも挟んでるの？ まあ空間の断絶という、天の川よりも厳しい現実に阻まれてはいるけどね。
さてさてどうしたらいいか……世界を渡れるG-01である。実際、空間を渡る術だってあると思う。とりあえずネナンちゃんを抱えてない方の手で明と宵の間の空間を触る。すると見えない壁があるかのように反発力が発生する。
（いけるか？）
むりやりこじ開けていける？ かのような気もするけど、はっきり言ってそれをG-01が出来るのなら、鬼だってできるとおもう。ならそれをやってないのは？ 結局のところ、この壁みたいなを壊しても、もしかしたら宵には繋がってないとか？ そんな訳あるだろうか？ だってこの世界は大きな宵の中に明という世界を内包してるって感じなんだと思うんだ。
だからこの壁を破壊していけるとしたら宵と思っていい……と思ってたんだけど、もしかしたら明と宵の間にはなにか特殊な結界的なものがあったりするのかも？ でもとりあえず私は腕を差し込んでいく。すると指が食い込んでいった。
（行けそうだけど……このままデータをとりつつ、G-01で分析も並列的にして……）
頭が痛い。色々とやることが多いから、マルチタスクで様々なことを考えてるせいだろう。宵には何度も行動してるから、この断絶の間が確かに宵とも明とも違うのはすぐにわかった。空間の周波数的なそんなのがなんか違うし、成分というか、力の流れ的なものも違う。どうやら世界を形作る明と世界を包み込む宵……さらにはその間にまた別のシステムがこの世界にはあるらしい。
そしてそんな明と宵の間に腕を突っ込んでいくと、なんかサーザインシャインインラで見た、黄金の鬼が大地から抜き放った半透明のウネウネした何か……が剥がれた空の空間から湧き出てきた。
「えっと……これはまずいかな？」
なんか良からぬ自体になってるような気がする。私や鬼の予期せぬ行動が、世界に付加を与えすぎた……みたいな？
