二つ頭の砂獣を燃やし尽くした。それによって周囲に展開してた正方形の物体も消えていく。それによってG-01の出力低下もなくなった。どういう原理だったのかは終ぞわからなかったが、データだけは取ってる。そのうち活かせることもあるかもしれない。
どんな小さな……そして弱い存在だとしても、どうやら身になることはあるらしい。そういう小さな事の違い。変化……それらは全て多様性なのだ。世界によって違う多様性。それを積み重ねていくことで、G-01は強くなっていくと言っても過言じゃない。
「ん?」
なんかG-01の手に糸がくっついてきた。そしてそれによって引っ張られる。体が開いた。そこに、沢山の腕をもった多腕砂獣がその手になにやらもって攻撃をしてくる。それはどうやら鎌だ。でも普通の鎌ではない。
G-01の目にはそれが何なのか直ぐにわかった。それもどうやら腕だった。奴らと同じ特別な砂獣。その一体。腕がカマキリの鎌になってたようなやつだ。他にも色々な昆虫が混在してたような混在砂獣の持ってた腕。それを持ってる。
「まさか、もぎって渡したの?」
そんな事を呟く。でもそうとしか考えられない。そしてその混在砂獣はというとその体をなんか変化させてた。カマキリの鎌はなくなったからなのか、最初に頭についてたカブトムシの角を両手につけてた。そしてなんか頭は蜂なのか蝶なのか、なんかそんな感じの形になってる。
体は昆虫らしく3ブロック分かれて、それぞれが違う昆虫の体になってるようにみえる。翼は復活してて、これも最初の鋭い羽じゃなく、蝶のようなかたちなってる。
「こいつ、自分の体を入れ替えられる?」
残った力で最後の抵抗って感じなんだろう。でも相手が悪かったね。たしかに多腕砂獣の攻撃は鎌によってかなり鋭くなってる。元々がこういう組み合わせを想定したのか? と思うような戦術である。
でもそれだと、この形の砂獣を意図的に生み出さないと出来ないはずだ。それともここまで教会はコントロールして砂獣を生み出すことが出来る……ってことなのか? 生まれた砂獣の子供みたいなのに、予めそういう風になるように仕込んでる……とかだろうか?
生んだ本人はそもそもがそんな気持ちはないみたいだし……こういう連携を取れるようにするには、教会が仕込んでないと、こんな上手くはいかないと思うんだけど。
「それともこれはただの想定外?」
生物の進化を私は目の当たりにしてるのかもしれない。追い詰められたからこそ、どうにかしないといけない。それが奴らに危機感を及ぼして、こういう策を考えついたのかも。
そもそもがこの特別な砂獣たちには多少なりとも知能があった。なら……可能性はある。こいつら自身がこういう方法を編み出したかの知れない。多腕砂獣と混在砂獣が怒涛のラッシュを仕掛けてくる。それを甘んじて受けてるG-01だ。けどそれは受けるだけの余裕が私にはある……と言うことだ。